葛根湯って結構怖いなって思ったとき
「漢方薬ってあんまり効かないんじゃない?」
薬剤師として働いていると結構聞かれます。
確かに、成分を考えると元々草だし、葛根なんて秋の七草に出てくるくらい
ポピュラーな植物。
でも、葛根湯は風邪、いわゆる急性期の疾患に使われることもあり、
効き目はシャープで意外と怖いんです。
私の失敗談と一緒に怖さを知ってもらいたいなと思います。
葛根湯の成分は?
葛根湯の成分は以下の7つの生薬から構成されています。
葛根(カッコン)麻黄(マオウ)桂皮(ケイヒ)芍薬(シャクヤク)甘草(カンゾウ)大棗(タイソウ)生姜(ショウキョウ)
これは結構薬学生の試験では聞かれることが多かったので、「かまけしたかし」と覚えていました。怠けているタカシ君みたいなイメージでしょうか。
中でも麻黄と甘草は曲者です。私の失敗談は麻黄に関係しています。
私の失敗談
私は国家試験を控えた薬学生だった頃、体調を崩しそうになった時には葛根湯にお世話になっていました。
しかし、ある時、いつもと違うメーカーの葛根湯を買って、用量をよく見ないまま1回に1日量を飲んでしまったのです。
そのあと、動悸や汗が酷い状態になり、おかしいと思って自分の用量間違いに気がついたのでした。。。
しばらくすると治ったので、これが麻黄の力か!なんて呑気に思っていましたが、持病がなくて良かったと後々安堵しました。
メーカーや商品によって飲む量は違うので、皆さんは絶対に守ってくださいね!(そんなことする人いないか。。。笑)
葛根湯に含まれる麻黄と甘草
私の失敗からわかるように葛根湯には、副作用として動悸や発汗過多があります。
これは、麻黄によるもので、麻黄には心臓や血管に負担をかけるエフェドリンが含まれているので、循環器系に持病のある人は注意が必要です。また、長い間病気をしていたなどで体力のない人も葛根湯には注意が必要です。
また、もう一つ注意が必要な成分は甘草です。
これは甘草と甘草の成分であるグリチルリチンが市販薬や食品に含まれることが多いためです。
知らないうちに結構な量を摂っていることがあります。
甘草は摂る量が多すぎると手足のしびれ、むくみ、体重増加を初期症状とする偽アルドステロン症という重篤な副作用が起きる場合があります。
甘草はその甘い味から色々な商品に含まれることが多いので、葛根湯に限らず薬や食品の表示をチェックしてみてください。
漢方薬もちゃんとした薬。
そんなことはわかっていたことですが、
「薬はリスク」を身をもって体感した出来事でした。
本日の勉強範囲:方剤学(解表剤)